渡辺保の劇評 国立劇場11月
欠陥の第一は、世話物らしいリアリティがないことである。たとえば第一幕第一場不忍池出合い茶屋。幕が開くといきなり新内仲三郎の出語りで、白塗りの染五郎の神谷芳之助の道行風の出になる。「かさね」や「十六夜」と同じ趣向だが、それはいいとしてもそのあとがいけない。無人の一座ということもあるだろうが、出合い茶屋の人間が誰一人出て来ず、さながら荒野の一つ家の如くまるでリアリティがない。世話物の楽しさがない。それにこういう怪奇物は細かい日常の描写があって、そこへ不意に非日常があらわれてこそサプライズも怪奇も深まる。 (2008年11月国立劇場)
渡辺先生のご指摘に納得しました。いわゆる世話物のお芝居は物売り、通行人、下働きの者などが登場し、雰囲気作りをします。そしていくらシンが良くてもワキが拙いと、その芝居は成功しません。今回は主となる役の方が殆どで、脇があまりいませんでしたので難しかったのでしょう。
乱歩を歌舞伎にという着眼点は大変面白いので、練り直して再演して欲しいです。

新作には厳しいイメージの保先生が意外に褒めているので
ちょっと興味が湧きました。
周囲の評判も良いんですよねえ。
「きちんと歌舞伎してるのがいい」「とにかくなんだか楽しい」とか。
さちぎく様も練り直して再演してほしいとおっしゃるくらいだし。
安いチケットが売り切れなのが痛いですがちょっと観て見ます。
投稿: まる | 2008年11月16日 (日) 22:32
まるさま、コメントありがとうございます。
とにかく見直さねばならない課題が多いとおもいますが、江戸末期、桜田門外の変があったとか劇中で言っていましたから、世の中が騒がしい時に、あんな怪人が登場してもおかしくないし、アイディアは悪くないと思います。そうそう先月の大老を意識してるのも面白かったです。
投稿: さちぎく | 2008年11月19日 (水) 22:57
さちぎく様、行ってきましたよ~。
まったくの新作だけあって脚本の浅さや練られてなさなど
確かに見直してほしいと思う部分が少なからずありましたが、
かなり好感の持てる出来で思い切って観に行ってよかったです。
大枚をはたきましたがその分は十分元が取れました。
個人的に音楽の使い方が非常に良かったと思いました。
それと乱歩という題材が意外に歌舞伎に合うなと。
ラストの染五郎の宙乗りの姿の美しさには驚愕、いい役者になってきましたね。
高麗屋はあまり好きではなかったのですが今回で少し見直しました。
投稿: まる | 2008年11月22日 (土) 22:05
>高麗屋はあまり好きではなかったのですが<
彼には新歌舞伎で頑張って頂きたいです。明智と人間豹の対決ーだましあいーをもっとみせてくれると良かったなぁ。
お返事遅れてすみません。私事で忙しかったもので~悪しからず
投稿: さちぎく | 2008年11月26日 (水) 21:32