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波乃久里子著『菊日和』

波乃久里子がこんど出した『菊日和』という本が面白かったので、一息に読んでしまった。いわゆる面白い本というのともちょっと違うが、しかしこれはきわめてユニークな一書である。書名は何だか小津安二郎の映画の題みたいだが、この「菊」というのは六代目菊五郎を利かせてあるのだろう。六代目菊五郎の愛娘久枝、というのはすなわち著者やその弟、つまり当代勘三郎等の母親が、女学校を卒業する前後、昭和17年1月から4月までの4ヶ月間、毎日欠かさずつけていたに日記をつい最近、勘三郎の襲名興行のさなかに発見した著者が、それを包み込むように、母を語る文章を綴って一冊としたものだが、この4ヶ月になにが物語られているかというと、満18歳だった久枝に縁談が持ち上がっていて、その相手というのが、(いうまでもないが)のちの十七代目(つまり先代の)勘三郎になる当時はまだ中堅俳優だった中村もしほ、というわけである。(上村以和於の随談)

大変興味深い本です。波乃久里子、勘三郎の母である久枝さんの日記がみつかって、著者が母について綴った本とのこと。縁談が持ち上がった頃、戦争が始まった頃の4年間の日記で、当時の東京の様子も含め貴重な体験談でもあります。

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